悦子さんは22才のときに、26才の勝廣さんと結婚します。彫刻家のご主人の手伝いをします。お弟子さんが多いときで4人おられ、住み込みの人もいて皆の昼食を賄います。主人や弟子のため朝座は半分くらいしか聞けません。そこで、何時も今しかないと大西先生に聞きます。ご讃題は頭に入れ、空で味わえるようにして口を開け質問などします。
大西先生にお味わいを述べると、まだそんなところにいるのか!と叱られたり、ようそんなふうに聞いてくれたと喜んでくれたりします。悦子さんはその意味を分析しますが、わかりません。悦子さんが40才を過ぎた頃から大西先生の体調の関係で、高山に来れなくなってしまいます。中途半端になってしまいました。雑行雑修自力の心を捨てるというのが分からない。お母さんとあっちの喫茶店、こっちの喫茶店に行って話し込みます。
そんななかNHKの『心の時代』に増井悟朗先生が登場されます。平成6年1月23日の放映でした。1月23日は早川先生のご命日でもありました。題は「求め、捨て、転じられる」です。「捨てる」と聞いてビックリして、便せん8枚に、今までの求道の道程、今の思いを書き、悟朗先生に送ります。
悟朗先生は、高山に素晴らしい善知識が二人もおられた!と喜ばれ、悦子さんはテレビを観て獲信したと勘違いされます。その手紙は華光誌に載ります。4月の永代経には「是非、来て下さい」ということで、悦子さん、悦子さんのお母さん、ご主人の勝廣さんの3人でお参りましす。
その晩、信先生の「一歩、踏み出しなさい」の一言で、母はワーッと泣き崩れ、いただかれます。お母さんは一睡もせずに一晩あかしたそうです。
最後の全体座談で、悟朗先生は、悦子さんの手紙を持ってニコニコしています。どなからでもどうぞと言われ、「先生!」と手を挙げます。