父親の増井悟朗先生に「聞かせて下さい」とお願いすると、「1つ大事なことがある。命をかけて聞くか?」と尋ねられます。「はい」「南無阿弥陀仏に飛び込むんや」と仰ります。自分の業魂と阿弥陀様との命のやりとりです。お念仏を申させてもらい、その後の記憶がありません。これで聞かせてもらったと安心します。小学4年の時です。
18才になり龍谷大学に入学します。大学には信仰がなく、世俗化していることにガッカリします。19才で得度をし、華光会の「人生を語る会」で体験発表をすることになりました。ところが、仏法の話ができません。自分は信を獲ていないと告白します。
悟朗先生と行子夫人が、道場の隅で、「困った」と相談話しているのが目に入ります。そして悟朗先生とのご示談になります。引っかかったのは、助かりたいと思って聞いているのに、「なぜ地獄一定」なのか? そこの薄紙一枚が破れません。畳をかきむしりながら、号泣し「わからん、わからん!」と七転八倒します。
自分の心の変化ばかりをみつめていました。「今、称えたら、心は変わっていないから、自力の念仏ではないですか?」と尋ねます。「南無阿弥陀仏に自力も他力もない!」との悟朗先生の応えです。そこで「あっ、そうか。念仏するぞ!」と言うと、姉の聞子さんが「念仏に逃げたらアカン!」と叫びます。
構わずに念仏称えたら、「地獄一定」が判ってしもうた! 見えた、出会えた! スパーと抜けて慶びが湧いてきます。大笑いします。深夜0時過ぎに銭湯に行って、汗、涙、鼻水を流します。嬉しくて一晩中、華光誌を読んだそうです。
現在は、華光会館の代表役員として、華光同人を指導・教化されています。年に2回、福岡の私の自宅で2日間法座をして頂いています。私の京都での行きつけ、烏丸御池にある「じじばば木馬亭」は信先生からのご紹介です。夫婦ともどもお世話になっております。
2017年1月