この妙好人列伝も5周年、60回となりました。第1回は増井悟朗先生に登場いただき、その翌月にお浄土に還帰されました。ギリギリ「現代に生きる」に間に合いました。記念の第60回は悟朗先生の長女の聞子さんです。4才の時に獲信したという伝説の方です。私もその時のテープを聞かせてもらったことがあります。周りの「よかったね」という声のなかで、小さな子どもが念仏を叫んでいました。
真宗史上、最も若い?幼い獲信ではないでしょうか。聞子さんによれば、ものごころがつく前から、両親と一緒に寝物語にも「あんたはおとうちゃん、おかあちゃんが行くところ(お浄土)には行けんから、早く仏様の子どもにならしてもらい」と言われて育てられました。
当時は、大人も子どもも関係なくご示談が行われ、子どもが子どもを取り囲んでお勧めしていたそうです。4才時の報恩講のご示談において、まだ小学生の丸尾佐知子さん、中学生の辻悦さん(嶌悦さん)、増井武士さん(聞子さん従兄弟)から、ご示談を受けていました。途中、イヤになって下で寝て休んでいるお父ちゃんのところに行こうと階段を降りたときに、階段の上から「寝ている間に死ぬかもしれへんで!」と言われ、ハッとします。きびすを返して道場に戻り、そこで聞かせてもらいました。今となっては何も覚えていないそうです。気がついたら母、叔母さんが喜んでいて、大きな座布団の上に乗せてもらって、念仏していました。
龍谷大学真宗学科の学部、修士課程で学ばれ、学部の卒論は「真宗における求道論」です。大学院での指導教授は信楽峻麿先生した。
聞子さんとは7年前のシルクロードツアーで一緒でした。鳩摩羅什さんの銅像前で「弥陀成仏のこのかたは~」と歌っていました。今年のインドツアーでも霊鷲山の山頂で歌っています。現在は名古屋の「浅野屋洋食店」の女将さんとして、ご主人の太佳雄さんとお店を切り盛りしています。仏説とは真逆の世間のモノサシに驚きながら、いよいよ仏説のまことを知らせてもらう毎日です。
2020年6月