第18回 増井信先生 上

阿弥陀仏の本願のうち第十八願は王本願といわれます。親鸞聖人は本願のなかにも真と仮があると教えられ、真実の願が第十八願です。そこで18番目の登場は、増井悟朗先生亡きあと、私の善知識であります増井信先生です。悟朗先生在世中はよく「信の法話はスゴイ」と仰っていました。

悟朗先生がお亡くなりになる直前の華光会館でのご法座のあと、悟朗先生ご自身が信先生の前に跪かれ拝まれたのは衝撃的でした。

増井信先生は、悟朗先生のご長男として1962年にお生まれになりました。年令的には私よりも2つ下、二三代さんと同じ年の生まれとなります。姉の浅野聞子さんが4才で獲信したため、小さい頃から相当なプレッシャーがあったそうです。父親の悟朗先生から「仏様の子どもにならしてもらわんと、お父ちゃん、お母ちゃんと同じお浄土に行けへんで」と言われて育ちます。

小学4年生のときの兵庫県江原での子ども大会で、隣で水泳教室をやっていた指導員2人が溺れて亡くなります。若い女性が溺れて、その救助に行ってのことです。目の前で、つい先ほどまで元気だった人が、死体となって引き上げられ、ショックを受けます。いきなり死の問題が突きつけられます。

子ども大会が終わった後、夜も不安になりシクシク泣いていました。お盆参りに出かけるところの悟朗先生に「どうしたんや?」と聞かれます。「後生が怖い」と言うと「お参りは日を改めてできる」と予定を変更して、そのまま親子のご示談となりました。

その時に悟朗先生は「命をかけて聞くか?」と小学4年の信先生に尋ねます。どんなに小さい子でも大人と同じように接していたという悟朗先生が偲ばれます。では、この続きは次号で!

2016年12月

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