第102回 谷本とし子さん 上

兵庫県豊岡市日高町の谷本とし子さんです。2023年に85才になられます。日高町はとても仏縁の厚いところで、かつて伊藤康善先生は住民の半分は聞き開いているのでは言われたような土地柄です。とし子さんの祖母は鎌田先生という方から教えを受けていました。鎌田先生は伊藤康善先生、増井悟朗先生が布教される40年ほど前に布教されていました。

鎌田先生からお育てを受けたおばあちゃん達が自宅の通り添いに7~8人いて、とし子さんは人気者で、おばあちゃん達のおつかいをしていました。小学校4年生のとき、運動会で足を痛め、手術をします。近所のおばあちゃんのうち谷本ひさおばあちゃんは、カゴ一杯の卵を買ってきて、「早く元気になれ、元気になれ」と、毎日、卵を食べさせてくれました。

谷本ひささんは鎌田先生のご教化により聞き開いていた方です。それは伊藤康善先生の『われらの求道時代』に載っています。

引用ここから~

一段と声を高めて「その念仏はどこの念仏か」「ハアーッ」「あなたの称える念仏が親様じゃないか! 生きた親様じゃないか!」と中啓を畳に叩いて申されました。私は正直に人の言葉を信ずる性ですから、「ハアーッ!」とかしこまって、「私の称える念仏が親様ですか」と申しますと、「そうじゃ、お前を助ける親様、只今息が切れても助ける親じゃ。今じゃ、今じゃぞ」と申されました。「御院家様それ本当ですかい」と申すと「本当じゃ本当じゃ」と申されました。私は驚きのあまり魂がジリジリ舞いをいたしました。思わず身も忘れて泣き崩れました。

~引用ここまで

その谷本ひさおばあちゃんの背中に卵大の大きなできものができました。小学生のとし子さんにでき物に薬を塗ってもらう度に、50回念仏を称えさせ、なにかと仏法に結びつけてご縁をつけてくれます。

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