第94回 松岡宗淳先生 上

浄土真宗本願寺派安明寺ご住職の松岡宗淳先生です。令和4年8月29日に76才で往生されました。生前に2回、この妙好人列伝への登場をお願いしましたが、「いや~、私なんか」と断られていました。妙好人列伝の趣旨は、読んだ人のご縁になればということですので、今回、奥様の和枝さんにインタビューをお願いしました。

初めて滋賀県長浜市の安明寺にお参りしました。元は天台宗のお寺でしたが、蓮如上人時代に浄土真宗に転派し、宗淳先生で十八代となります。開基仏御絵像裏書きに蓮如上人のご長男の順如上人の御染筆があります。蓮如上人は滋賀を経由して北陸に行かれるときに、長浜あたりを通られたそうです。

お父様の宗幹先生は前々門主の勝如上人に仕えるほど、由緒ある真宗の末寺です。宗淳先生は龍谷大学仏教学科に入りますが、結核のため数年遅れてしまいます。信楽峻麿先生のゼミに入り、西光義敞先生の真宗カウンセリングとご縁を結びます。増井悟朗先生とのご縁もありましたが、華光会は機責めと警戒します。

いろいろなところで求めていましたが、信心が獲られません。悟朗先生に相談すると、「法徳の所では、なかなか聞き開けんよ」と言われ、反発してしまいます。しかし、岩波文庫の『親鸞和讃集』を読んで喜べるようになったので、法を喜ばせてもらおうと31才の春に華光大会に参加します。

ところが、初日の吾勝常晃先生の法話を聞いてまだだと知らされます。二日目の辻本順道先生のお話で、自分とは違うと思います。ご同行に尋ねると「落ち機のところで喜ばせてもらうものだ。あんたのは化城だ」と言われ、喜ぶところが違う、やっぱりダメだと観念します。

最後の法話で悟朗先生が「仏様の御慈悲をいただかぬヤツはダレや!」と獅子吼され、惨めな思いにとらわれます。

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