第88回 松井亮さん 下

2020年より、東京・高山の支部法座、華光会の本部法座と参加し、求めていきます。本部法座では、私の分級にも何度か来ていました。思い詰めた感じで、いろいろとお勧めをしてもなかなか聞き開けません。仏壇の前でお念仏して、そこから離れなくなったこともあります。昼食時間となり、皆さん食事に行きますが、松井さんは仏壇の前で涙して、離れようとしません。対応に困り、瀧山さんに来てもらったこともあります。

2021年の秋に真宗カウンセリングと「聞法の集い」に5日間連続の聴聞に参加します。そこでのサイコドラマでは、自分が求道者の役となります。サイコドラマはアドリブでそれぞれの役割を演じていきます。松井さんはセリフなしで求道者の声を表現しなければなりません。そのワークの最中に聴こえてきたのは、阿弥陀様に向かって「どないせいちゅうねん!」という声です。自分の腹底を叩いたらこんなものしかでてきません。

同年10月1日に祖母が亡くなります。自分の行き先を示してくれたと感じます。また12月には高山の舟本兄弟のお母さん民子さんが往生されます。仏法聞けよとの鈴がつけられます。

2022年の4月の東京法座の座談で、「聞けん、聞けん」と言っているのは、阿弥陀様に向かって「修行が足りん」と言っているのと同じだ!と言われ、その言葉が入ってきます。1㎜も聞いていなかった、これからも聞かないと知らされます。

ご示談が終わった後、皆さんから「良かったね」と言われますが、あれだけ握るなと言われていたのに、何がいいのかわかりません。ただ念仏だけが止まりません。信先生と一緒に帰っているときも、地下鉄で大きな声で念仏を称え続けます。信先生も相当恥ずかしかったそうです。

自宅に戻った後、『仏敵』を読んでみると読み方が全然違います。そのまま入ってきます。わからんけど、うれしい。ボク一人のために阿弥陀様が働いてくれていたんだと、ポカーンとしている松井さんです。

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