三回忌を迎えた増井悟朗先生の奥様、行子夫人です。悟朗先生とは10才の年齢差があります。今年、82才になられます。行子さんは和歌山県の出身です。小学生の頃、高森先生が、当時は京都から数週間、布教に来ていました。その期間は毎晩ご法話があり、大人たちは着物を着てお参りしていました。
お姉さんが先に聞かせてもらっていました。その歓びようが凄く、有り難い念仏を称えていました。小学4年の行子さんも友達と二人で聴聞するようになります。信心を頂かなかったら地獄行きということで、毎晩、40~50人の村の人は、ほとんど参詣をしていたそうです。法話の後、それぞれ集まって、どうしたら信心を頂けるんやろとお互いに示談します。
昼間、お寺に行って欄干にもたれて外を眺めていたら、暗くなってきたので、帰ろうとします。ところが草履がありません。途方にくれてしゃがみ込んで泣いていると、本堂に連れて行ってくれました。本堂の中で泣いていると、光明が西から照らされ、すごい念仏が吹き出てきました。畳の床を突き抜けてまで埋まるほど頭が下がります。地獄に行かないかんという思いがスーッと消え、嬉しいやら恥ずかしいやらになります。
悟朗先生との出会いは14才です。ご法座に来られた時に自宅に寄られていました。中学を卒業する際に、中央仏教学院に行くように勧められ、夜間高校に通いながら、中仏に行って得度を受けます。悟朗先生と結婚されたのは19才! プロポーズの言葉は「一緒に法を伝えていかへんか」だそうです。それに対して「私も一緒について行きます。よろしくお願いします」と応えられます。
悟朗先生の昔のご法話テープを聞くと、行子夫人の笑い声がよく入っています。いまでも、華光会館でのご法話、座談にはいつも顔を出され、お元気です。
2017年8月